いいかげんな収益計画のプロジェクトはその実現性を疑ってみる

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Balancing The Account
Balancing The Account / kenteegardin

プロジェクト計画書で、いいかげんな収益計画しか書かれていない場合はそのプロジェクトの実現性を疑ってください。

優秀なプロジェクトマネージャはプロジェクトの収支計画をかなり実現性高く作り上げ、そしてコストマネジメントを行い、しっかり利益を生み出します。逆に計画段階で収支計画を精緻に作れないプロジェクトマネージャーがプロジェクト完了時に収益を出したという事例は見たことがありません。また、赤字のプロジェクト計画を策定して、その赤字巾以内で完了したプロジェクトも見た記憶がありません。

今までの経験では、プロジェクトを成功させたいならプロジェクトの立ち上げ時に利益を生み出せる収支計画書を作ることです。
そして、どう計画してもプロジェクト収支が赤字になるのなら(引くに引けないプロジェクトもありますので)、相当マネジメントが難しくなることを覚悟してください。

赤字覚悟のプロジェクトでは、なんとか赤字の巾を少なくするために様々な活動費用を削減しようとします。コストだけで判断してレベルの低いサプライヤーを採用したり、開発に必要な試作品を作る費用を削減したり、テストを省略したり、ステークホルダーとのコミュニケーションに必要な出張費用をケチったりしたくなります。それらの費用削減が何を引き起こすか想像できますか。開発コストをむやみに削減すると、開発している製品の品質が大きく低下し何度も何度も設計のやり直しが生じます。その結果ますますプロジェクトの開発コストが増大して、想定以上の大きな赤字を引き起こします。

一般的にプロジェクトの粗利は25%程度で、いくら頑張ってもマネジメントをしても粗利が25%を越えることはまずありません。しかし赤字プロジェクト損失額は天井なしに膨れ上がります。とくに品質のコントロールができていないプロジェクトは想像を絶する赤字を作ります。一本のできの悪いプロジェクトが他のすぐれたプロジェクト数本分の利益をすべて食いつくすこともあります。

収支を綿密に管理してやっと確保できたプロジェクト収益を守るためにも、いいかげんな収益計画のプロジェクトは確実にチェックして排除しなければなりません。