お正月を迎える行事〜砂モチ、砂の道〜

2019年12月31日撮影

お正月はもともとは年神様をそれぞれのお家にお迎えする行事です。年神様は元旦に山の方からやってこられて、家族みんなが元気で暮らせることを叶えてくれる神様です。年末は年神様を迎えるための準備がそれぞれのお家や神社でとりおこなわれます。

奈良県の北部の地域、奈良市、大和郡山市、天理市などではお正月を迎えるための砂モチや砂の道という行事があるので見せてもらいに行きました。

奈良市佐紀町 佐紀神社(西畑)の砂モチ

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奈良市佐紀町にある佐紀神社です。昨日の30日にお正月の準備が行われたようで境内は静かにお正月を待っているようでした。こちらの神社のしめ縄は暖簾のような幅広のしめ縄で、かなり低い位置にかけられています。

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砂モチを踏まないように注意しながら境内に入らせてもらいました。昨日は雨が降ったので心配されましたが砂モチはしっかりその形を残しています。写真の大先輩から聞いた話では、昔は草履履きの人が多いので参拝者がお参りされると砂が草履について行くので境内の砂が少なくなったそうです。一年の終わりに少なくなった砂を補充するために氏子たちが砂を奉納したのがはじまりのようです。

奈良市佐紀町 釣殿神社の砂モチ

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こちらは、佐紀神社のすぐ隣りにある釣殿神社です。ちょうど砂モチの作業が行われていたので見せていただきました。

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釣殿神社は佐紀神社からの道路と御前池に挟まれた場所に位置しています。鳥居をくぐると拝殿に続く石畳を残して両側に砂モチが作られていました。御前池がわの木立から差し込む朝日がきれいな陰影を作ってくれていました。

奈良市佐紀町 佐紀神社(亀畑)の砂モチ

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釣殿神社から200mほど東、御前池の対岸に位置する亀畑佐紀神社へ行くと、宮司さんがじきじき砂モチを作られておられました。

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一輪車で運ばれた真砂土を水を汲むヒシャクを使って砂モチを並べていきます。砂モチのラインを揃えるためにロープが張られているのですが、その重しとして使われているは農作業に使う木槌(子供の頃はツチンチョとかツチノコと呼んでいた)でした。久しぶりに見たのでとても懐かしく思いました。

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境内いっぱいに砂モチが美しく作られました。

大和郡山市白土町 白坂神社の砂の道

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大和郡山市白土町に鎮座する白坂神社に移動しました。白坂神社では砂の道が作られていました。砂の道は神社から氏子の家を結ぶもので、神様がここを通り各家を訪れると言われています。現在では道が舗装道路になったので滑って危ないなどの理由で神社から数十mで終わっています。

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本殿と末社のそれぞれのお社にも砂の道が造られていました。

天理市檜垣町 三十八神社の砂の道

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白坂神社から10kmほど南下したところ、天理市檜垣町にある三十八神社です。三十八神社はそのまま(さんじゅうはちじんじゃ)と読んでいる記述もありますが(みそわじんじゃ)という記述もあります。奈良県神社庁のWEBではみそわじんじゃと書かれていました。

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こちらの神社では準備が終わられたのでしょうか誰も境内にはおられませんでした。砂の道がきっちり真っ直ぐに引かれていて、しんと静まり返った空気と相まってお正月を迎える厳粛な雰囲気が感じられました。