桜井市の棚田で田植えが始まりました
2021年5月28日,30日撮影
桜井市、宇陀市辺りを走っているとあちこちの水田に水が入り、そろそろ田植えが始まるようです。桜井市街から初瀬を越えて宇陀市に至るR165は勾配のきつい長い坂が続き、国道の両側の山間には棚田が散在しています。
今回はその棚田を順番にめぐることにしました。
桜井市出雲の棚田
桜井市朝倉を過ぎて左側に出雲地区があります。出雲の水田からは大和平野が見渡すことができます。
この辺りは雄略天皇の泊瀬朝倉宮があったとされている場所の近くで、古代の都人もこの地から大和平野を眺めたことでしょう。
雄略天皇といえば万葉集巻一の巻頭歌が口について出てきます。
こもよみこもちふくしもよみふくし持ちこの岳に菜摘ます子家のらせ名のらさぬ そらみつ倭の国はおしなべてわれこそをれ敷きなべてわれこそませ 我をこそ居(を)れ我れこそは告(の)らめ家をも名をも
かなり強引に可愛い女性にいい寄っている歌ですが、大昔のこのような場所でこの歌が読まれたのではないかと想像が膨らみます。
桜井市白河の棚田
出雲地区から東にひとつ尾根を越えると白河の集落です。谷あいを流れる川の両側に棚田が広がっていて、ちょうど田植えが終わった時期でした。
上の田から下の谷に水路で水が送られています。飲んでもさしつかえなさそうなきれいな水でした。(決して飲んではいけません^^)
時間をかけて水田を撮影していましたが誰にも出会うことがありませんでした。静かに時間が過ぎていきます。
ふと視線を感じて振り向くと2匹のヤギさんに胡散臭そうな顔で見られていました。
桜井市・岩坂の棚田
白河から国道と近鉄を挟んで向かいの山に狛(こま)、岩坂の集落があります。谷間を流れる狛川を挟み、西が岩坂、東が狛の集落です。
いかにも古そうな石組みが組まれて棚田が作られていました。
水田の畦と側面の曲線、向こうの山に上がっていく作業道がなんとも優しい曲線を作っています。
この辺りで写真を撮っているときに、軽トラでやってきた農家のおばさんと世間話をさせていただきました。最近おばさんと世間話をすることが多いようです。
狛の入口に近い場所の風景です。大和棟の農家がどっしりと構えています。
桜井市吉隠(よなばり)の棚田
先週、桜井市吉隠地区に立ち寄ると、まだ田植え行われていなかったので5月30日に再度訪れました。
入江泰吉さんの写真集を見るとこの棚田と民家が撮影されています。そのせいでしょうか、多くのカメラマンがこの風景を撮影するので、桜井市の棚田といえば最初にこの吉隠の風景が頭に浮かびます。
確かに美しい棚田で、現在もその美しさがそのまま残っていることはとてもありがたいことです。
それにしても入江泰吉さんはこのような風景をどうやって見つけ出したのでしょうか、とても不思議です。そして今ほど交通網が整備されていない時代にたくさんの風景を撮り続けたそのエネルギーに感心させられます。