クリエーティブな仕事をするためには制約を作る

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Saobraćajni kolaps u Beogradu
Saobraćajni kolaps u Beogradu / Goran Necin

会議のアジェンダを作ったり、仕事のプロセスを設定しようとすると「そのようにやり方を決めてしまうと自由な発想ができなくなる。すばらしいアイデアを出すには仕事のやり方を固定してはいけない」とおっしゃる方に時々出会います。

私がこの意見に同意できないのは、素晴らしいアイデアとかクリエーティブな考え方は突然頭のなかにその全容が湧いて出るものではなく、小さな発想を論理的に積み上げて行くことで構成されると考えているからです。アイデアをきちんと積み上げる枠組みがないとチームでクリエーティブな仕事をすることができないのです。

どんなシステムでも与えられている自由度が高ければ高いほど、システムはより複雑なものとなりコントロールすることが難しくなります。決まりごとのないプロジェクトが失敗しやすいのは自由度が多過ぎることが原因なのです。これと同じように思考するプロセスも何らかの制約を決めないとコントロールできなくなります。

制約は、締め切りであったり、予算であったり、プロジェクトに課せられた条件であったりケースバイケースで変わってきます。制約を決めることで検討しなければならない部分が絞りこまれて、アイデアをそこにフォーカスすることができます。

たとえば、会議では終了時間を設けなければなりません。終了時間が決まっていないと、会議に集中できなかったり、議事が脱線したり、無駄なおしゃべりが増えたりします。 終了時間が決まられているからクリエイティブになれるのです。
プロジェクトの進め方を決めてメンバーに理解してもらうことも制約のひとつです。プロジェクトの進め方を決めていれば、メンバー各人がプロジェクトをどう進めるかをあれこれ検討することから開放され本質的な課題解決に時間を割り当てることができます。

クリエーティブな仕事のためには、きちんとした仕事の枠組みなどの制約が必要であって、無限の自由度や制約のなさはそれらを阻害するものです。