吉野町浄見原神社の国栖奏 2025
2025年2月11日撮影
吉野町上市の初市を見た後、吉野町国栖まで国栖奏を見に行ってきました。国栖奏は応神天皇(第15代)が吉野へ行幸の際、国栖の人々が醴酒(れいしゅ/こざけ)を献上して歌舞を奏したことに由来する古式ゆかしい神事で奈良県の無形民俗文化財に指定されています。
毎年旧暦1月14日に吉野町南国栖の天武天皇を祀る浄見原神社で行われ、今年は2月11日がその日に相当します。
過去の投稿(2020/02)→吉野町浄見原神社の国栖奏 2020
狩衣(かりぎぬ)、烏帽子で身を包んだ12人の翁が参道の石段を登り舞殿に入られました。翁は翁筋といわれる家筋の男性で、舞翁2人、笛翁4人、鼓(つづみ)翁1人、歌(うた)翁5人おられます。
狩衣は桐・竹・鳳凰が織り込まれていてとても美しい衣装です。
神主の祝詞奏上に続いて、「一歌」「二歌」が謡われ、神前に供えられた鼓、笛が楽器を演ずる奏者に下げられ「三歌」が謡われました。
舞翁が鈴と榊を両手に持ち舞が始まりました。歌翁の一人が(エンエイ)と囃し正月より十二月まで舞われます。エンエイは漢字で書くと遠栄あるいは、延栄とも書かれるようです。
終わると「四歌」が謡われ、最後の「まろが父」の句で、全員が右手を口元にあて上体をそらす「笑いの古風」で終わります。この笑う仕草はごく短い時間で終わるので写真に収めるのはいつも難しいです。
最後に御巡楽というのが行われ、氏子と奉賽者の名前を一人ずつ「エンエイ」と囃しながら読み上げられ舞楽は終了します。
舞楽が終わり、翁たちは神社の石段を降りて戻っていかれます。神社横を流れる吉野川の淵は「天皇淵」と呼ばれており、青い水を湛えています。
国栖奏では山菓(栗)、醴酒(こざけ、一夜酒)、腹赤の魚(うぐい)、土毛(くにつもの、根芹(せり))、毛瀰(もみ、赤蛙)の5種の神饌をお供えされています。その中でも赤蛙は生きた蛙で、最高の珍味として天皇に献上されたようです。秋口に山の中でカエルを捕まえると保存会に連絡が入り、国栖奏の日までミミズなどの餌をやりながら飼育するそうです。