2019春日若宮おん祭〜大宿所祭〜

最終更新日

2019年12月15日

師走の奈良を彩る春日大社摂社・若宮神社の例祭「春日若宮おん祭」が12月15日から18日まで執り行われます。12月15日には餅飯殿町の大宿所でおん祭の無事執行を祈願して大宿所祭がありました。大宿所(おおしゅくしょ)は、おん祭に参じる大和士(やまとざむらい)が精進潔斎を行う参籠所のことです。

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大宿所には懸物(かけもの)といわれる若宮様へのお供えが飾られています。最近では鮭、鯛と雉が供えられていますが、昔はウサギも供えられていたそうです。

「センジョ(遍昭)行こう マンジョ(万衆)行こう センジョの道には何がある 尾のある鳥と、尾のない鳥(兎)と、センジョ行こうマンジョ行こう」
と、この時期に聞く奈良のわらべ歌はこの懸物を唄っています。そういえば昨年までは餅飯殿の商店街でわらべうたが流れていたのですが、今年は聞かなかったな。

懸物を撮っていると年配の方に声をかけられました。「この大宿所の懸物には雉が入っているけど、手向山八幡宮さんの懸物には、雉が入っていないのはなぜですか?」。
ものすごくマニアックな質問ですね。

明日、おん祭宵宮の16日に、大和士(やまとざむらい)が流鏑馬稚児とともに若宮神社に参拝し、参勤の無事を祈って御幣を奉ります。その後手向山八幡宮にも参拝されるのですがそのときの手向山さんの懸物のことです。私がそんな難しいことを知っていると見えたのでしょうか。
とっさに「さあ、あまり知りませんが手向山さんは鳩を神紋とされているから鳥をお供えするのは避けられたのでしょうか」と答えたのですが、正しかったのだろうか。

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大宿所祭では午後2時半、午後4時半、午後6時の三回に渡り御湯立(みゆたて)の神事が行われます。2時半は人が多すぎて大混雑していますので、少し人が少なくなり、あたりも暗くなりはじめる4時半の御湯立を見せてもらいました。

 

ソネッタン(湯立神事の巫女さん)は中央に据えられた煮えたぎる湯釜の前に正座して祝詞をあげます。湯釜に酒や米などを入れた後、「左右左(サヨーサ)」と唱えながらササの葉で湯を振りまきます。

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「伊勢は神明天照(ていしょう)皇太神宮様の花の御湯(おんみゆ)なーり」
「左右左(さようさ)、左右左、左右左」

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「南は蔵王権現様の花の御湯なーり」
「左右左、左右左、左右左」

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両手にした熊笹の束でお湯を左右に振りいたあとは、参拝された人を笹と鈴で浄めます。

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御湯立の後、おん祭の無事を祈って、神職から授けられた榊の葉っぱを大和士が烏帽子の下に忍ばせます。

2018年のおん祭大宿所祭の様子はこちらから